オフィシャルブログ

日別アーカイブ: 2025年9月22日

第12回五島の暮らしを支える浄化槽設置工事講座

皆さんこんにちは!


CEGハウジング、更新担当の中西です。

 

~変遷~

 

上下水道が届きにくい地域や分散立地を支えてきた浄化槽
“設置して終わり”の設備ではなく、設置→維持管理→検査を回してはじめて価値が出る“循環型インフラ”です。
ここでは、戦後から現在までの技術・制度・市場ニーズの変化を、現場目線で一気にたどります。


1|昭和:公衆衛生の確立と普及期(〜1990s前半)

  • 目的の中心は衛生:し尿の衛生処理が最優先。

  • 単独処理浄化槽が主流:トイレ系(黒水)だけを処理、台所・浴室(生活雑排水=灰水)は未処理が多い。

  • 工事の勘所:地盤・湧水・埋設物に注意した据付・据え枠・配管勾配

  • 維持管理は清掃と簡易点検が中心で、**「動けばOK」**の時代感。


2|平成:合併処理への大転換と“水環境”の時代(1990s後半〜2010s)

  • 合併処理が標準へ:黒水+灰水をまとめて処理し、河川・湖沼の負荷を大幅低減。

  • 高度処理の登場:BODだけでなく窒素・りんも下げる高度処理型が普及(嫌気・無酸素・好気の多段、生物ろ過、MBRなど)。

  • 法定検査の常態化:使用開始時+毎年の検査、保守点検・清掃の記録を整える文化が定着。

  • 整備スキーム:下水道整備が難しい地域で、合併処理浄化槽整備事業が進み、個別分散型が現実的な公共投資に。


3|令和:脱炭素・省エネ・DXとレジリエンス(2020s〜)

  • 省エネ運転インバータブロワや間欠ばっ気、低損失配管で電力を削減。

  • 遠隔監視:流入・溶存酸素・電流・警報をクラウドで可視化、予兆保全へ。

  • レジリエンス:災害時の仮設住宅・集落での即応、停電・断水に備えた非常運転・貯留・発電の検討が標準に。

  • 周辺条件の変化節水機器の普及で流入希釈が減り、処理の安定化設計(流入平準化・流量調整)が重要テーマに。


4|現在の“ニーズ”を整理(発注者・施主・地域)

  1. 確実な水質と記録
     放流水の基準クリアをデータ+写真台帳で提示。保守・清掃・法定検査の一気通貫な証跡

  2. ライフサイクル最適
     初期費より**LCC(電力・部品・清掃・検査・更新)**で提案。10〜20年スパンの更新計画を前提に。

  3. 静穏・景観・臭気対策
     居住・観光地では騒音・臭気・外観への配慮が選定要素に。

  4. 用地と施工性
     狭小地・斜面・高地下水でも施工できる製品・工程、既設配管との衝突回避

  5. 災害対応
     越流・停電時の運転モード、仮設放流、緊急時の連絡・応援体制まで台本化。


5|“やりがい”が生まれる瞬間(役割別)✨

設備士・施工チーム

  • 浮力・湧水・レベルを読み切って一発据付が決まる快感。

  • 雨天・狭隘でも配管勾配と通気を美しく納められた誇り。

維持管理(保守点検・清掃)

  • ばっ気・返送・スカムの状態から最適運転に立ち上げ直す達成感

  • 定期点検で苦情ゼロ・水質安定が続く“見えない貢献”。

設計・営業

  • 用地・景観・水域特性に合わせた最適解の提案で指名が増える手応え。

  • データでLCCと環境負荷を説明し、価格以外で選ばれる喜び。

共通するのは、目に見えない水環境の改善を自分の手で確かに前進させる実感。


6|時代で変わった“設計・施工・運用”の勘所

  • 設計:処理方式(接触ばっ気/循環流/MBR等)、流入平準化・前処理、放流先の合意形成

  • 施工浮上防止(アンカー・バラスト)、高地下水の排水計画踏掛板・保守動線の確保。

  • 運用DO・ORP・電流・騒音をモニタ、返送比・ばっ気パターンを四季で調整。

  • 検査使用開始時+年次を確実に。改善勧告→是正→再点検まで台帳で管理


7|“提案が通る”3プラン(Good/Better/Best)

  • Good(基本):合併処理+標準ばっ気、施工性と安定運転を優先。

  • Better(快適・省エネ):静音ブロワ、間欠制御、臭気・景観配慮、点検口動線の最適化。

  • Best(高度処理・DX):窒素・りん除去、遠隔監視、停電時モード、LCCとCO₂試算付き。
    → 各プランに放流水目標・電力年額・清掃周期・保守費を添えると意思決定が速い。


8|現場で役立つチェックリスト ✅

事前調査

  • 用地寸法・搬入経路・地下水位・地耐力/既設配管高・放流先の権利関係

  • 電源容量・騒音環境・臭気苦情履歴/景観ルール・雪害・塩害

施工計画

  • 浮上対策(アンカー・コンクリベッド)/湧水処理・雨天対策

  • バキューム車のアクセス動線/点検・清掃の安全足場

  • 近隣告知のタイミングと様式

運用・引渡し

  • 初期運転(立上げ)手順/モニタ値の基準レンジと通報フロー

  • 保守点検・清掃・法定検査の年間カレンダー

  • 写真台帳・回路図・操作手順のデータ引渡し


9|これからの10年:分散水処理×地域循環へ

  1. 分散インフラの主役化:下水道と役割分担し、山間・離島・観光地で持続可能な処理を担う。

  2. エネルギー連携:小規模太陽光・蓄電と組み合わせ、停電耐性とCO₂削減を両立。

  3. データ駆動遠隔監視→予兆保全→最適保守でLCCを圧縮。

  4. 景観調和:建築・ランドスケープと一体で、見せても美しい浄化槽へ。


10|見えないところで“地域の水”を守る仕事

浄化槽設置業は、単独処理の普及期から合併・高度処理の成熟期を経て、
いまや省エネ・DX・レジリエンスを備えた地域インフラづくりへ。
ニーズ(確実な水質・LCC・景観・災害対応)に型で応え
目に見えない“水の安心”を数字と記録で証明できるほど、現場のやりがいは深まります。💧

 

 


CEGハウジングでは、一緒に働いてくださる仲間を募集中です!

私たちが採用において最も大切にしているのは、「人柄」です。

ぜひ求人情報ページをご覧ください。皆さまのご応募を心よりお待ちしております!

詳しくはこちら!

apple-touch-icon.png